薬膳の勉強法

中薬暗記法を紹介!人をイメージして覚える具体例も

薬膳の勉強法

薬膳の勉強を始めたときにちょっとびっくりして同時に納得したのは、薬膳の学習は中医学の学習が全部終わってからでないとできない、ということでした。基礎理論と診断学をやっとの思いで乗り越えた後には、難関な中薬学と方剤学の履修が待っていました。

ここでは私が苦手な中薬や方剤を覚えていった過程の中で、これから勉強される方の参考になればいいなと思うことをまずは中薬から書いていきたいと思います。

中医薬膳指導員で覚える中薬は、実はとても易しいレベル

中薬学で理解して覚えることは大きく分けて次の4つになります。

  1. 産地と採集について
  2. 炮製について
  3. 薬性理論
  4. 分類

このうち3の「薬性理論」までは内容を理解していくものですが、4の「分類」は並んでいる中薬をとにかく暗記!といった感じの単元です。私はストーリー性がないとなかなか覚えられないタイプなので苦手な作業でした。

それでも中医薬膳指導員の試験で覚えなければいけない内容は、とてもとても初歩的なレベルです。難易度が高く感じるのはほとんどが慣れないものへの拒否反応からくるものではないでしょうか。見慣れない漢字、聞き慣れない名称。実はこの時点で覚えることは後から比べたら圧倒的に少ないんです。でもそれは先に進んでからでないと実感できないんですね。

中医薬膳指導員に求められているのは中薬の分類名とその作用、それに属する主な中薬名を覚えることだけです。それが〇〇科の根なのか花なのか実なのか、といったどの部分を使用しているのかもまだ覚えなくていいし、性味も帰経もまだ覚えなくていいんです。今思えば本当に楽なんですが、その時は楽だなんて絶対に思えませんでしたね。

それにこの、分類と作用と名前を覚えるだけというのが実は逆に大変だったりします。新入社員が部署名と担当業務と社員名を一覧表で渡されて、いきなり暗記しろと言われてるようなものです。

よく知らない中薬とは少しお付き合いする必要性があります

まずは対面する

人の名前を覚えるとき、まずは相手の顔や姿を見て名前と一致させますよね。その後、その人の声や特徴、香り(匂い)、交わした言葉、知り得た情報など次々とデータがインプットされていき、接触をするたびに更新されていって、ついには忘れなくなります。

中薬を覚えるにあたっても、まずはなんと言っても実物を見たいですよね。そしてできれば触って感触を確かめて、匂いも嗅ぎたいですね。味を見るという手もあります。写真しか見ることができないと辛いですがその場合は穴が開くほど見て質感を想像するしかありません。(私はほぼそうでした)

でもまたこれが、、大体茶色で乾燥してて(当たり前なんですが)、ほとんどが空き地に転がってる枯れた草や根っこにしか見えなくて見分けがつかず、有効な手段なのか怪しくなります。興味も湧きづらいビジュアルです。

アイドルに興味がない人は、ジャニーズのメンバーの顔がみんな同じに見えて見分けがつかないですよね。名前を教えられたところで早々覚えられるものではありません。少しずつ違うのに見分けがつかないのはその人のことを何も知らないからだと思います。

とにかく接触する機会を作る

日常的に接して性格や癖とか好みとかを知り、そこにエピソードやストーリーが加われば、覚える気がなくても覚えてしまいます。中薬もある一定の期間触れたり繰り返し関わったりすることで、あんまりがんばらなくても覚えてしまいます。

私は普段から本やネット、漢方薬局の健康アドバイスのチラシやコラム、鍼灸院のDMまで、できる限り多くの中薬の情報に触れるようにしました。

しばらくするとまずは難しげな名前への抵抗感が消えていきました。

 

中薬の分類は会社の各部署をイメージするとわかりやすい

私はちょっと遊び半分で、全体を中薬カンパニーという会社というイメージにして考えました。興味を持てなくてそのまま機械的に覚えるのが辛かったんだと思います。

たとえば解表薬という分類は、中薬カンパニーの解表部という部署です。表邪を発散して表証を取り除く仕事を担当しています。

解表部には二つの課があります。辛温解表課と辛涼解表課です。

辛温解表課の仕事は発散風寒です。外感風寒による悪寒、発熱、頭痛に対応します。メンバーは麻黄さん、桂枝さん、生姜さん、紫蘇さん、荊芥さん、防風さんの6名です。
辛涼解表課の仕事は発散風熱です。外感風熱による発熱、悪寒、咽喉の渇きに対応します。メンバーは薄荷さん、菊花さん、葛根さん、桑葉さん、牛蒡子さん、柴胡さん、淡豆豉さんの7名です。

こう考えると

  • 解表部は発散作用を使って外から来た風邪を取り除くのが仕事で、
  • 体を温めて風寒邪を追い出すのが辛解表課で、
  • 体の熱を冷まして風熱邪を追い出すのが辛解表課なんだな。

というふうに整理されます。

これが整理できたら後はそれぞれのメンバーがどんな人かを知ればいいだけです。調べていくと、それぞれがその道のスゴいスペシャリストであることがよくわかり、個性を活かして役割分担し活躍していることを知ります。性格も見えてくるし、エピソードも出てきます。

新入社員のときにいろんな部署を回って研修するということがありますが、そんな感じで全ての部署を回っていきます。何周かしたり、時々どこかの部や課に遊びに行ったりしているうちにメンバーを覚えていきます。このとき相手を覚えようとするんじゃなくて、知ろうとする、理解しようとする、そういうイメージです。私はこれで憂鬱を回避しました。
ところで社員のメンバーの中には、生姜さんとか紫蘇さんのようにすでに知っている方がいますね。その部署に何人か顔を知っている人がいたらとても気が楽です。調べれば君って実はこんな力があったんだ、スゴい仕事してるんだねって、より相手を知ることができると思います。

オリジナル中薬ノートを作る

私は中薬のことだけを書いたオリジナルのノートを作りました。きれいに書いていると時間が足りないので自分しか読めないような走り書きのようなものです。人様にはとても見せられませんが、大事な情報に溢れているので今でも使っている大切なものです。

私にとっては、自分の手で描くという行為が重要でした。何かを覚えるとき私にとって効果的だったのは、

  • 声に出して読んでその音を耳で聞くこと
  • 誰かとそのことについて話すこと
  • 自分の手で書いてみること

この三つでした。

中薬名だけとりあえず覚えていればいいやという場合はそんな必要はないかもしれませんが、私は本気でマスターしたかったですし、これからも勉強を続けていくつもりだったので、このノートを作ったのは正解でした。

基本は1日数個、時間のあるときはまとめていくつかの中薬を書きました。書き足すたびに他のページも見たりしていつの間にか反復ができています。全部書けなくてもいいやくらいの気持ちで自分を追い込まずにやりました。

【オリジナル中薬ノートの内容】

  • 大分類(例、解表薬)中分類(例、辛温解表薬)小分類(中薬名)に分けてインデックスをつける
  • ひとつの中薬に見開き1ページを使う
  • 見開きの左側には自分で書いた中薬の絵と基本情報
  • 見開きの右側には補足情報やメモを後々書き足していく
  • 中薬は増えていくのでバインダー式が便利

◉見開き左ページ

中薬の絵を自分で描くというのがポイントです。下手でも自分で描くことで嫌でも観察してその形状に注目することになるからです。そしてそれをアウトプットして描くという行為で脳にロックさせます。これは細い根っ子だとか枝だとか、茎だとか実だとか種だとかを確認することにもなります。中薬自体の印象がすごく固定されました。
大抵は絵だけだとよくわからないシロモノなので補足にメモを入れておきます。茯苓だったらエリンギみたいとか、沢瀉なら里芋に似てるとか、桂枝ならまさにシナモンスティックとか、薏苡仁は外皮を除いてあるとか。
ちなみに絵を描くのは覚えるためであって見るためのものではないので(実際書いた絵を見てもよくわからないし)、見て覚えるために使うのは写真の方が良いと思います。私にそんな気はないですが、まめできれいなノートを作る方は写真を貼ってもいいかもしれません。
◉見開き右ページ
左ページに基本情報を書くので、左ページにはそれ以外の知っておくと良い情報を書き足していく余白にしておきます。何かを本やネットで目にしたこと、講師の先生が言っていたこと、偶然知り得た情報などの中でこれは残しておきたいと思ったら、ここに書き込んでおきます。山薬の山芋なら蒸すのが一番など調理法も書いたりします。
実際の「当帰」の左ページにはこんなことが書いてあります。
  • 名前の由来→「当に(まさに)帰る」・・中国の民話。昔病弱で夫に去られた妻がこの薬草で健康を取り戻して夫が戻った。「当に我が元に帰るべし」と言ったことから。他にも子供が授からず実家に帰されていた妻が妊娠できるようになり夫の元に戻った。産後の肥立ちが悪く家に帰ることができなかった妻が回復して夫の家に帰ることができた、など。
  • 大和当帰が最高品質(推古天皇の時代から)=大深当帰、今は廃れた
  • ビタミンEが多い
  • 洋名アンジェリカはエンジェルが語源→聖薬、子宝
  • 中国の当帰カラトウキと日本の当帰は別物、成分など少し違う
こんなふうに中薬の一つ一つにプロフィール帳を作るように書いていくと、私の中でそれぞれの中薬の顔が見えるようになり、なんとなくキャラもできていきました。以前よりも身近に感じることができ、興味を持つようになりました。興味がない状態ではいくら教材を見ても読んでも頭に入らないし、すぐに忘れてしまうんですよね。

まとめ

苦手な中薬を覚えるために私がやった勉強法を書いてみました。作ったオリジナルの中薬ノートは手作りの中薬早見事典のようになり、有意義な情報を書き込んであるので今も使っています。
ある程度中薬の理解ができていると、次の方剤学がとても楽です。方剤学が興味深くなるかそれとも憂鬱になるかは、中薬の理解にかかっています。
中医薬膳指導員の試験では簡単な問題しか出ないので神経質になる必要はありません。でも今後も勉強を進めていくつもりなら、今からもう少し深く中薬を知っていくと今も後も楽だと思います。

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